訪問記
これまで訪ねた戦国時代の城でその後に廃城となった城郭にそれほどの期待はしていなかった。輝かしい歴史はあっても荒れ果てた城跡との思いだったが、城跡をひと廻りしてその規模の壮大さと保存状態のよさに認識を改める。急ごしらえの砦のような城ではなく近世の城郭に近い縄張りを持った本格的な城である。しかも山城ならともかく平地に近い平山城で、今日まで遺構がよく残っているのは驚きだ。農地や宅地になっていてもおかしくない。現に周辺は宅地化され、そうでない土地も農地として開墾されている。遺構がよく残っているのは昭和7年(1932)には早くも国の史跡として指定されたことが理由なのだろうか。関東には戦国時代の城跡が何百とあるだろうから、その全てを残すことなど不可能だし経済的にも無駄なことだ。しかし、歴史を辿る意味からもこうした城跡のいくつかは何時までも残すべきだ。まさしく鉢形城は残すべき城跡だと思う。 鉢形の地名のいわれは何だろうと地形図を見て想像してみるが思いつかない。土地の形状ではなく、この地は太古より人が住んでいたようなので、鉢の形をした土器が出土したのがいわれなのかと勝手に想像してみる。そういえば、案内書には”エドヒガン”という彼岸の頃に咲く早咲きの桜があると書いてあったが、見当たらない。既に散ってしまったのか、それとも今年の寒さでまだ咲いてはいなかったのだろうか。(2012年3月25日) |