日本の城ある記(関東の城・川越城)

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 川越城  (かわごえじょう

訪問記
 予想はしていたが、予想通りであるとちょっと悔しい気持ちになる。事前に調べておかなかった自分が悪いのだが、ついついこの日に休む相手を罵ってしまう。 月曜日の観光施設が休みになることは全国どこにでもあることだ。それを承知していながら何の調べもせずに訪ねた私が悪い。とはいえ、例え目玉施設の本丸御殿が休館していたとしても、城跡見物なら他にも見るべきものがあると思っていた。川越城は例の100名城にリストアップされている城だ。100名城の公式ガイドブックには「大手は小田原城、搦手は川越城といわれるほど江戸にとっては重要な城で」とある。見どころとして、本丸御殿、家老詰所、富士見櫓台跡、堀、土塁とある。しかし本丸御殿の正面玄関は無造作に露出しているので見学できたが家老詰所の建物は本丸御殿横に移築されたもので見学不能。堀、土塁に至っては案内標識は何もないのでどこにあるのかと近辺を歩いて探しまわったが確認できず。富士見櫓台跡は、どうにか見つけたが、「ああ、これがそう」と言った程度の代物。古城絵図に見る川越城は壮大な規模であるのに、いったい川越城はどこに消えてしまったというんだ。
 もう10年以上前に川越を訪れた時、その時の目的は小江戸と呼ばれる街並みを見物することだったが、ついでに川越城を訪ねたことがある。その時の印象は「崩れかけた本丸御殿」を見てこれが大大名の御殿なのかと、そんな印象を持っていた。本丸御殿が修復されたと聞いたので今回訪ねてみたのだが、前記のとおり休館で中に入れず。
 それにしても江戸時代の町屋が数多く残って、城下町が観光名所になっているのに比べ、城跡のなんと無残な姿か。
 嘉永元年(1854)に再建された本丸御殿にしても駐車場と道路に直接に面していて何の趣もない。御殿遺構として貴重なものであるらしいが、前回訪れたときに御殿の中を拝見したが、格別に重要建築とも思えなかった。ついつい八つ当たり、100名城に選定された理由を問い質したくなる。リストにないお城でも、これよりはましな城跡はいくらでもある。そう思うのは、これは単に私の知識が至らない所為であるのか。 (2011年7月25日)   
 
 長禄元年(1457)扇谷上杉持朝が家臣の太田道真・道灌親子に命じて築城させたのが川越城の始まりとされる。大永4年(1524)江戸城を北条氏綱に攻め落とされた扇谷上杉家は以後川越城を居城として使用した。その川越城も天文6年(1537)に北条氏綱に攻められ陥落。氏綱の娘婿北条綱成が城主として入城した。  
 天文10年(1541)に北条氏綱が没すると、扇谷上杉の当主朝定は川越城の奮取に動き、古河公方足利晴氏、山内上杉憲政と連合して川越城を包囲。しかし天文15年(1546)小田原から進軍した氏綱の子北条氏康の奇襲を受けて連合軍は敗走。扇谷上杉家は滅亡した。これが名高い「河越夜戦」。
 秀吉の小田原攻めで北条氏が滅亡し、天正18年(1590)の徳川家康の関東入封後、川越城は江戸の北を守る戦略拠点として重要視され幕府重臣や譜代大名の赴任地となる。
 慶長14年(1609)に入封した酒井忠利の子、酒井忠勝は3代将軍家光の時の大老職。寛永16年(1639)松平信綱は知恵伊豆と呼ばれた人物で徳川長期安定政権の基礎を築いたといわれている。元禄7年’1694)には綱吉の側用人として権勢をふるった柳沢吉保が入封している。
 川越は城下町として、大消費地江戸を支える物資の集散地として大いに発展した。北条時代にも城下町は形成され町屋が立ち並んでいたが、本格的な城下町の整備をしたのは松平信綱が入封してから。大手門から西に延びる通りと南北の通りの交差点(現在の札の辻)を中心として10か町を町割り 、家康の命を受けて天海が再建した喜多院を中心に四つの門前町を整備した。瓦葺、蔵造りの町やは何度かの火災にあったがその都度再建されて今も昔の姿を残している。  
    


川越藩 歴代藩主
家紋  入封時期 禄高   入封時藩主  
 慶長14年
1609
2万石 酒井忠利(譜代)駿河田中より入封   
 寛永11年
1634
3万石 堀田正盛(譜代)相模より入封   
寛永16年
1639 
6万石 松平(大河内)信綱(譜代)武蔵忍より入封   
元禄7年
1694 
7万2千石 柳沢吉保(譜代)入封(前任地無し)   
宝永元年
1704 
5万石 秋元喬知(譜代)甲斐谷村より入封   
明和4年
1767 
15万石 松平朝矩(家門)上野前橋から入封   
慶応2年
1866 
8万石 松平(松井)康英(譜代)下野宇都宮より入封   

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