訪問記
所用で三郷まで来たついでに岩槻まで車を走らす。この城は何年か前、ちょうど桜の季節に訪れたことがあるが写真に残すことはなかったので再度訪れた。今回はWebサイトに掲載する写真撮影のためだが、画になる格好の場所がなかなか見つからない。空堀や土塁の跡はあるし、かつての水濠の痕跡もある。しかし山城と違って平城の空堀や土塁の跡はちょっと迫力に欠けるし、説明のない写真では単なる風景写真になってしまう。それに本丸の跡地や主要な城郭はは宅地や公共の用地になっていて城としての全体像を捉えられない。何か面白い場所はないかと、城址公園の外周を一廻りしてみたが、思うような場所に行きつかない。北条氏築城の特徴とされる障子堀の跡が残っていると事前に読んだ解説書にあったが、探し方が悪いのか私にはその遺構を見つけられなかった。建造物の遺構としては城址公園となった一角に一旦城外に移築されていた長屋門(黒門)と裏門が再び城内に移築されて展示されている。私のような素人目にはこれが唯一城らしい遺構に見える。とはいえ、かつて広大な沼地に囲まれた城の面影が全くないわけでもない。それに城跡をそのまま残したり前の様に復元するだけが能じゃない。莫大な資金もいるし、一部愛好家のためだけに城跡があるのでもない。今は市民の憩いの場になった芝生の公園でのんびり過ごすのも悪くない。そんな気分になって、ベンチに腰をおろして長閑な時間を過ごしてみたいと思ったが残念ながら今は時間がない。もう少し暖かい気候になり桜の花でも咲いたときに訪れることがあったらそうしたいと思いつつ岩槻城をあとにする。(2012年3月14日) |