日本の城ある記(関東の城・小田原城)

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 小田原城  (おだわらじょう)

訪問記 
 小田原城は数え切れないほどではないにしろ、5本の指では足らない程度には訪れている。主には桜の季節だが、それ以外にもよく訪れる。車で行くこともあり東海道線や小田急の小田原駅から徒歩で行くことができることもあって箱根の帰りとかに寄り道することもあった。 規模的にも、往時の姿はともかく、現在の姿はコンパクトで散策するにもちょうどよいサイズであり、その割には本格的な城郭として十分に満足できる。
 この日も最初から小田原城を目的として訪れたのではなかった。東海道線で小田原から一つ先の早川まで行き、小田原港で朝市の見学と、評判の地魚料理を食べての帰りだった。そのまま帰宅するには早い時間だったのでちょっと寄り道した。
 たまたま出会ったのが、城内の公園で行われていた流鏑馬。普通”流鏑馬”は神社などの神事として行われることが多いが、この日は神官が見当たらない。この方面の知識がないのでよくわからないが、いってみればスポーツとしての流鏑馬の競技会のようであった。
 小田原城についたのは午後2時ごろだったように記憶している。多分午前中から行われていた流鏑馬の競技会は、そろそろ終わりを迎えようとしていたが、それでも何騎かの武者(女性もいた)が疾走しながら的に向かって矢を射る姿を見ることができた。武士のいでたちでの騎乗姿を城をバックにしてみるのもいいものだ。
 最初に小田原城を訪れたのは元号が平成になる少し前。その時は天守閣は再建されていたが、住吉橋などは工事中であった。それから20数年、城の周りも年々整備が進んだ。それでも、何度も訪れているせいか、荘厳さや妙な権威臭さが伝わってこない。小田原城は北条早雲の築いた城。怪しげな早雲の国とり物語の舞台であることが小田原城を身近に感じさせる。(2008年3月16日)
 
 小田原の地に最初に城を築いたのは応永24(1417)駿河鮎沢より入った大森氏が最初だとされる。室町時代の明応4(1495)に韮山城主であった伊勢宗瑞(北条早雲)が小田原城を奪い取り、以後、北条氏五代の約100年に亘る居城となり、関八州制覇の拠点となる。四代氏政のとき永禄4(1561)上杉謙信、永禄12(1569)には武田信玄が小田原攻めをしたが何れも撤退した。
 五代北条氏直のとき、秀吉の小田原攻めに備えて城下町をすっぽり包む大外郭が築かれた。「めぐり五里」ともいわれる中世城郭史において例のない巨大な城郭を作り上げた。上杉、武田の軍勢も撤退させた巨城は、天正18(1690)21万の豊臣勢に囲まれた開城したが、それは武力ではなく、秀吉の策略によるものであった。 伊勢宗瑞を北条早雲というが、早雲自身は生前一度も北条姓を名乗ったことはなかったという。北条氏というと代々鎌倉幕府の執権を務めた一族が有名だが、それとは何の関係もない。早雲の息子の代になって、北条姓を名乗ったが、駿河、伊豆、相模、上総、下総、武蔵の6っか国を支配する大大名には伊勢姓より北条姓の方がカッコよかったからという理由だという。
 戦国時代の「国とり物語」 として有名なのは美濃の斎藤道三だが、道三は親子2代にわたっての国とりであった。早雲は一代で国とりを成功させている。彼こそ国とり大名にふさわしい。早雲は伊勢氏の出身であることは間違いないが、実は本当の名前はよくわかっていないようだ。一説には伊勢新九郎長氏だったという。どちらにせよ身分の高い武将ではなかったようだ。
 
 私が北条早雲に興味をもつのは、国とりゲームに参加したのが中年になってからのことだからである。人生わずか50年の時代に56歳にして初めて駿河の興国寺城の城主となる。ここから戦国大名としてのスタートを切った。伊豆に攻め込み足利氏を滅ぼし国を奪う。相模に攻め込み小田原を奪って小田原城を築き上げた。有力大名であった三浦一族を打ち取って、伊豆、相模の2国を手中にしたのは85歳の時だった。その3年後、88歳で天寿を全うした。定年から事業家に転出し見事成功した男の物語として、心強い限りです。 

 
 桜の季節に久し振りに小田原城を訪れました。平成21年(2009)に馬出門が完成しましたが、今回の訪問で確認することができました。(2012年4月7日)   

小田原藩 歴代藩主
 家紋  入封時期  禄高  入封時の藩主  
 天正18
1590
  徳川家康が関東への入封にともない
重臣大久保忠世(譜代)入封
 
元和5
1623 
 5万石 阿部正次(譜代)上総大多喜より入封  
 寛永9
1632
 8万5千石 稲葉正勝(譜代)下野真岡より入封  
 貞享3
1686
 10万3千石 大久保忠朝(譜代)下総佐倉より入封  

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