城ある記
JR中央本線「勝沼ぶどう郷」駅で下車。ホームに降り立つと、いきなり桜吹雪の歓迎を受ける。線路沿いに植えられた桜の並木が風に吹かれて花びらが舞っている。改札を出て駅前の広場に出ると大勢の人。ここは桜の名所のようだ。しばし立ち止まり桜に見とれたが、桜見物は後にして今日の目的地勝沼氏館へ向う。ここから約2km、徒歩で約20分の距離。
勝沼氏館は東西に流れる日川右岸の河岸段丘上にあり、南と西側は約20mの断崖となっている。右図と下図は現地の案内板から転載したもので、館全体は下図のように広大である。現在保存展示されているのは主郭とされる内郭部分。内郭は東西90m、南北60mの規模。南と西側は日川の断崖に接し、北と東側には土塁、堀が築かれている。北西部および東南部に門跡が見られる。北西部の門(北門)の内側に武者溜がある。東南部の門(東門)には堀を渡って東郭に通じる橋が架けられていた。また門の内側には櫓台跡がある。内郭内部には板塀や堀によって遮断性を高めた15棟ほどの建物が建てられていた。内郭南西に工房跡(鍛冶場跡)がある。ここからは金が付着した土器が発見されていることから、近くの金鉱(黒川金山)から産出した鉱石から金の精錬が行われていたことが推定される。 |