訪問記
和歌山城はもちろんのこと和歌山市を訪れたのは今回が初めて。相当に昔のことだが大阪から南紀白浜を観光目的で行ったことがあるが、その時はただ通過しただけ。日本中の城郭を訪ね歩きたと思いついたときに、真っ先に訪ねる城と考えていたのだが、何故か今となってしまった。ともあれ、前日に和歌山市に入り、夜の街を散策した翌日に和歌山城を訪ねる。天候にも恵まれ、ちらほら咲き始めた桜の花に迎えられて広大な敷地の和歌山城を歩き回る。
和歌山城は紀ノ川の河口、標高50m程の虎伏山の要害に築かれた平山城。再建された天守であるが、さすが徳川御三家の一つ紀州藩の居城である。堂々とした姿は美しくもあるが、立ち入る者を威圧する厳しさを感じさせる。
大手門から二の丸に入り、御蔵丸、松の丸を通って天守の建つ天守郭へ向かう。最初はなだらかの坂も、天守直下は急坂となり上部からは侵入する敵を絶え間なく攻撃できる地形となっている。虎伏山の上部は二つの丘陵からなり、天守郭と御殿の建つ本丸 とに分かれている。本丸は現在貯水設備となっていて立ち入ることはできない。江戸時代に建てられた天守は昭和20年(1945)の戦災で消失。現在の天守は昭和33年(1958)に鉄筋コンクリート製で再建されたもの。それでも三層三階の天守には千鳥破風、入母屋破風、唐破風が配されて時代を偲ばせる重厚さを感じさせる。天守最上階からは和歌山の街並みと、滔々と流れる紀ノ川が遠望できる。暫し、藩主の気分を味わい昔を夢見るのも心の安らぎになる。(2016年3月26日) |