訪問記
明石まで大阪駅からJR快速で1時間で到着する。プラットホームに立つと明石城の二つの櫓が目に入る。これまで城跡見物に各地を訪れたが、駅のホームから城郭が眺められたのは初めてのこと。写真を撮ろうと立ち止まるが、生憎朝の通勤時間帯。急ぎ足で改札へ向かう乗客の迷惑顔に、気の弱い私は取り出したデジカメをポケットにしまう。
城跡は公園としてよく整備されている。二つの櫓が丁度良く収まる場所を探すがこれが結構難しい。超広角レンズを備えた高級カメラなら可能だろうが、私のは手のひらサイズのポケットカメラ。なんとか同じ画面に写し込むが小さくなって迫力がない。一つ一つ櫓を写せば、それなりの出来栄えにはなるが明石城の特徴が出ない。もう少し接近して櫓を建ててくれればと無茶な不満が口に出る。
天守台に立つと、明石の市街の向う遥かに明石大橋の橋げたが見える。西国大名の抑えとしての役割を担った城らしく瀬戸内海を見下ろす交通の要害に建てられている。ここには五層の天守閣が築かれる予定であったそうだが、築城以来一度も築かれなかった。明石城が完成した時期はすでに徳川幕府の基盤は安定していたのだろう。
天守台に立って当時の時代背景を想像してみるが、残念ながら今から大阪まで戻らなければならず、ここで時間をつぶす余裕がない。結構広い城内であるが、急ぎ足で駆け抜けて先ほど降り立った明石駅に向かう。(2011年6月8日) |