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訪問記
岡城の歴史は知らなくとも滝廉太郎の荒城の月は知っている。これは私だけではないだろう。いや、近頃のお城ブームでお城に関する知識も充分に持ち合わせている人も多くなっているかもしれない。私は薄っぺらいガイドブック程度の知識はあるが、それ以上の知識はない。知識よりも現場での感覚を大切にする主義。裏返していえば、わざわざ事前勉強して知識を得るのが面倒なだけ。
岡城は石垣が残るだけで建造物はない。見事な石垣が残っているので城門くらいなら復元してもよさそうだと思うのだが、同行のカミさん曰く「立派に整備したら”荒城”の月のイメージが壊れる」という。なるほど、それもそうだと納得。
観覧料を払うと巻物風の案内図をくれる。岡城の築城の歴史なども記載されている。何処にでもあるパンフレットを巻物にしただけのことだが、一手間加えることで観覧料が安く感じられる。いや、実際は一手間ではなく制作には結構手間閑かけていて赤字なのかもしれない。
観覧料を払ってしばらくは平坦な道。土産物屋がスピーカーで流す荒城の月をうるさく感じながら足早に歩けば直ぐに登り口に着く。急登ではあるがそれほどの距離もない。山城ではあるが車を止めた駐車場からはそれほどの高さもない。足腰の弱った老夫婦でも時間をかければなんとかなる。それに大手門まで登ればあとはそれほどの高低差もない。
関東の山城のほとんどは土塁だが、ここは全てが石垣で築かれている。九州における戦国時代の様子に疎いが、この地で激しい戦闘が繰り広げられていたのだろうか。それとも独立志向の強い九州男児の風土が守りを強くさせているのだろうか。(2015年4月25日) |