訪問記
南九州に、商用であれ私用であれ、赴くたびに飫肥を訪ねてみたいと思っていた。宮崎市までは何度も足を踏み入れたが、やはり飫肥はついでに訪ねるには少し遠い。飫肥の町に特別な拘りがあったのではないが、飫肥の言葉の響きが妙に気になっていただけのことだが、訪ねなかったことが何時までも心残りに感じていた。
鹿児島・指宿を旅行しようとカミさんの提案で、それならばと、宮崎地方も旅先に組み入れることにし、まず宮崎空港を出発点に選んだ。空港でレンタカーを借りて、日南海岸を南下。青島、鵜戸神宮を見て日南市に入り、そこから飫肥に向かった。
飫肥について、まず最初に飫肥城を訪ねるが、大手門の前に飫肥天を食べさせる料理屋がある。今日中に鹿児島までゆく予定で、車を飛ばしてきた所為で昼食を済ませていなかった。とりあえず名物の飫肥天をほうぼることにした。さつま揚げと違って柔らかい触感である。私には少々もの足らない感じがしたが、おやつ感覚と思えば納得できる。
飫肥城は、平日ということもあってか他の観光客に出会うことがなかった。人だかりがしていればすぐに迷惑顔をする私だが、誰にも会わないとなると少々さみしい気分になる。飫肥天の料理屋には何人かの客がいたが、城跡には興味がないのだろうか。飫肥城は伊藤氏3万6千石の居城である。当時から残る建物は無く、御殿、櫓門が再建されているだけだが、趣のある城跡である。私はしばらくこの場に立ち止っていたかったが、同行のカミさんは退屈のようだ。ここがNHKの朝のテレビ小説の舞台になったことぐらいしか興味がないようだ。南九州の旅は今日が初日。まだこの先は長い。同行者の気分が悪化しないうちに飫肥城を離れることにした。(2006年5月28日) |