甲陽軍鑑(こうようぐんかん)は武田信玄(晴信)、勝頼を中心とした戦国大名武田氏の戦術・戦略を記した書で江戸時代を通して甲州流軍学書として広く流布していた。江戸時代に出版された版本は20巻に及ぶもので、挿絵はなく軍事以外にも家臣団の逸話、武田家の儀礼などが記載されている。掲載した甲陽軍鑑は版本ではなく江戸中期に作成された手書きの書で挿絵のあるもの。版本とは構成が異なっており35巻に及ぶものの記述は簡略されている。挿絵は金泥、泥絵具を用いた豪華なつくりで、室町時代から江戸時代中期頃に流行った物語本としての「奈良絵本」の体裁となっている。
なお、現代の検証では甲陽軍鑑の記述には歴史的な誤りが多々見られ、作者(口述者)高坂弾正についても諸説あるようです。 |