泡盛は勿論、沖縄地方で生産される焼酎。米焼酎ですがタイ米(長粒米)を使うのが特徴。琉球には15世紀の中頃に交易を通してシャムから焼酎(泡盛)の製法が伝えられたといわれ、シャム、現在のタイでもタイ米を使った蒸留酒が作られていて、その味は泡盛と同じだそうです。ちなみにタイ米は水分が少なくバサバサとして硬質なので日本人の主食には向かないが、麹菌が繁殖しやすく、他の米と比べて温度管理もしやすいことから、泡盛に限らず焼酎用の麹米として使用されることも多いようです。
泡盛の製法がほかの焼酎と違う一番大きな特徴はその仕込みにあります。一般的な焼酎の仕込みは麹菌に水と酵母を加えて一次仕込みをし、それに原料を加える二次仕込みの方法でもろみを造ります。泡盛は2回に分けるのでなく、すべてを一度で行います。原料のタイ米に黒麹と水、酵母を加えて一度で仕込みを行います。理由は沖縄は年間を通じて気温が高いことにあります。2次仕込みまで時間をかけての製造ではその過程で雑菌が繁殖して腐敗する恐れがあるため。また、黒麹を使用するのは、黒麹が腐敗の原因になる雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多く造ることができるから。また、黒麹は泡盛独特の風味を出すためにも欠かせないものとなっています。
一般的な焼酎は、割り水をしてアルコール濃度を調整し、濾過して3カ月ほど寝かせてから出荷しますが、泡盛は寝かせば寝かせるだけ深い味わいになるとされて、数年、数十年と熟成されるのが当たり前のように言われている。一般的には3年寝かせたものを古酒(クース)として市場に出荷されます。また泡盛はアルコール度数が高いものが多いのですが、寝かせることによりまろやかな味に変化して飲みやすくなるとされます。
与那国島には”花酒”と呼ばれる焼酎があります。製法は泡盛と同じですがアルコール度数は60度以上。もろみを蒸留したときの最初に出てくる初留液だけを集めた酒だそうで、グラスに注ぐと小さな花が舞うように泡立つことからこの名があるようです。酒税法上では焼酎のアルコール度数はは45度以下の決まりがあり、花酒は焼酎と名乗れず、酒税法上ではスピリッツに分類されて販売されています。 |
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